「私にもできた! まちの保健室」の実践報告

今日は、「私にもできた! まちの保健室」の実践報告です。
12月14日、石川県で開催された日本公衆衛生看護学会で
開業保健師協会主催でワークショップを持ちました。
テーマは『私にもできた! まちの保健室』
実際に「まちの保健室」を開設している3人の保健師さんに
発表していただきました。
まず一人目は、霜鳥めぐみさん(新潟県)
ユースクリニックにいがた「わがんあいご」という
移動型保健室で、思春期の子どもたちが
安心して『性』の悩みを話せる場を提供しています。
https://wagan-aigo.studio.site/
スターバックスの一角を借りて初めの一歩を踏み出しました。
カフェや商業施設、駅前などの立ち寄りやすさを
考慮してスタートしましたが、
初回に訪れた中高生はたったひとり。
それもスタッフの子どもだったそうです。
1年半ほど経過して、やっと子どもたちが立ち寄れる場になり、
今まで誰にも言えなかった性的虐待やLGBTで悩む声が
ようやく届くようになっきたそうです。
そして、学校現場からも「来てほしい」という声が
かかるようになってきたそうです。
訪れる子どもたちは無料で利用でき、
運営に関する資金は寄付を募っているそうです。
二人目は、松山由美子さん(新潟県)
妊娠期から途切れない支援をということで
はっぴぃmama応援団を開設しています。
https://happy-mama-ouendan.jp/
最初は、公民館等で親子ヨガ教室やタッチケア教室から
スタートしました。
参加費は1000円 でも、この1000円をいただくことで
参加者からお金を取る有料開催になると、
公民館の借り上げ費用はあがるんですよね。
会場探しに苦労しつつ、
骨盤ケア講座の講師依頼が継続的に来るようになったことをきっかけに、
一軒家の家賃を捻出できるようになり、
そこを拠点にNPO法人で「まちの保健室」がはじまりました。
助成金を活用しておもちゃを購入したり、
使わなくなった遊具を寄付してもらったりしなががら
親子が集まれる場に育って行きました。
地域ケアに熱心な小児科医との出会いから
産前産後ケアと小児の訪問看護ステーションを立ち上げて
親と子どもの健やかな成長をサポートしています。
三人目は、渡部聖子(さとこ)さん(秋田県)
上記の霜鳥さん。松山さんは開業保健師ですが、
渡部さんは現役の行政保健師です。
「行政保健師が開業?」と驚かれるかもしれませんが、
渡部さんが実施しているのは、渡部さんがお住まいの地域での
高齢者が気軽に集まれるサロンの運営。
実は、月1回のボランティアです。
渡部さんが住む秋田県大館市神山町は、人口200人ほどの小さな町です。
そこに町内会館があるのですが、ほぼ活用されておらず、
高齢化率が約35%なので、お年寄りが集まれる場を作ろうと思い、
町内会長に「月1回、高齢者が集まれる場を作りませんか?」と提案し、
仕事以外の土日に月1回、「神山さくらサロン」としてスタートしました。
気軽に来て、安心して話せて、笑顔になれる場として
高齢者が集まってきています。
体操をしたり、レクリエーションをしたり、
高齢者の第3の居場所になっています。
財源は、町内会からのカンパや参加者が自主的に集めたお金です。
三人三様の取り組みですが、
共通して言えることは、ご自身の「想い」から生まれた活動であること。
地域生活の中で感じた社会的課題を解決する手段として
「まちの保健室」を開設しています。
開業保健師協会を設立した12年前に
保健師が起業する意味を考えたことがあります。
今までの保健師経験の中で課題意識を感じた分野で
自分にできることをしっかりと掘り下げて、
try & error を繰り返しながら
少しずつ、少しずつの変化を大切に育てています。
これぞ、保健師魂!
石川からの帰路につきながら、
会社とか個人事業主とかそんな分類ではなく、
社会的課題にしっかり向き合い、点を線でつなぎ、面に広げていった
地域での保健師活動を思い出していました。
今は、事務的なことや雑務に追われて、
なかなか地域での保健師活動ができないと言われていますが、
「ないならつくる!」が、保健師の得意技だったはず。
それが見事に実現されている「まちの保健室」に
心からのエールを送りたいと思います。

